詳細はN. Sakaguchi et al., The Journal of Physical Chemistry C, 123 (2019) 6735. をご覧ください.
本ページの図は全て該当論文より引用しています.Adapted with permission from N. Sakaguchi et al., The Journal of Physical Chemistry C, 123 (2019) 6735. Copyright 2019 American Chemical Society.
現在,金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴を活用したプラズモニクスデバイスが広く研究されています.例えば,光導波路やバイオセンサー,光触媒,表面増強ラマン分光などに用いられており,情報伝達やセンシング,触媒などの幅広い分野への応用されています.
私たちは下図のように電子顕微鏡を用いてプラズモンの観測をnmオーダーの分解能で行っています.また,電子線をプロ―ブとして用いることで,ナノ粒子間に形成される一般的な光(平面波)と直接結合しないダークプラズモンモードの観測なども可能です.
▼銀ナノ粒子ダイマーにおける表面プラズモン共鳴状態の解明
一般的に基盤上に担持したナノ粒子は大気/金属と金属/基板という複数の異なる界面を有します.そのため,ナノ粒子本来の表面プラズモンの解釈にはこれらの寄与の分離が必要でした.そこで,本研究ではガラス中にナノ粒子を埋め込むことで,単一の界面を有するナノ粒子のプラズモンの観測を実現しました.
図2のように銀(Ag)ナノ粒子ダイマーの様々な位置に電子線を入射し,プラズモンを励起しました.その結果,電子線を入射する位置によって励起エネルギーが違う=励起されるプラズモンが変わることを明らかにしました.
また,これらのプラズモンモードの起源を解明するために,離散双極子近似(DDA)によるシミュレーションを行いました.ここから,電子線をダイマー間に入射した場合には通常の光では励起できないダークモードのプラズモンを励起できることを明らかにしました.また,双極子モードだけでなく四重極子モードのプラズモンも励起されることを明らかにしました.