当研究室には北海道大学工学部応用マテリアル工学コース及び大学院工学研究院材料科学専攻の学生が所属しています.外部からの受験を検討ししている方は,それぞれコース・専攻の学生募集要項をご確認ください.
当研究室では,電子顕微鏡法ならびに計算機シミュレーションを活用し,原子・ナノからマクロまでのマルチスケールにわたる材料の解析・評価を行っています.材料特性が決まる要因や物理現象が起こるメカニズムを原子・ナノスケールから解明することで,マテリアル開発基盤を構築することに強みを持っています.当研究室は電子顕微鏡及び計算機クラスタを独自に保有していますので,これらの研究設備を活用し研究に専念することができます.
詳しくは研究内容ページ,研究設備ページをご覧ください.
当研究室の専門分野と関連の深い講義として,材料物理学,材料物性学,材料機能学,相平衡論,相変態論,結晶解析学,材料量子力学,表界面物理化学,半導体材料学,コンピュータ演習等が有ります.研究テーマの中には材料科学だけでなく物理学や化学の知識が必要なものもありますが,研究の遂行に必要な知識については教科書の輪講などでフォローします.
当研究室では研究室訪問や進学のご相談も随時受け付けていますので,お気軽に教職員までご連絡ください.
准教授 坂口紀史:sakaguchi(=^•ω•^=)eng.hokudai.ac.jp
准教授 國貞雄治:kunisada(=^•ω•^=)eng.hokudai.ac.jp
(メールアドレスは(=^•ω•^=)を@に変更してください)
何を目指しているのですか??
様々な機能性材料について,材料特性が決まる要因や物理現象が起こるメカニズムを原子・ナノスケールから解明することを目指しています.対象とする材料は,構造材料から,エレクトロニクス材料,光学材料,触媒材料など幅広く取り扱っています.
得られた知見から,より望ましい特性を発現する材料を設計することを目指しています.
最近は実際に材料合成にも取り組んでおり,材料合成プロセスの原子・ナノスケールからの最適化も目指しています.また,新たな材料解析手法の開発にも取り組んでいます.
どんな装置を使っているのですか??
原子・ナノからマクロまでのマルチスケールにわたる材料の解析・評価を行うため,主に透過型電子顕微鏡(TEM)と第一原理計算と呼ばれる量子力学に基づくシミュレーションを用いています.
透過型電子顕微鏡は光学顕微鏡よりも高い空間分解能で材料を直接観察することができ,原子スケールまで解析することができます.また,結晶構造の観察だけでなく,元素分析や電子状態,光学特性の解析も行うことができます.
第一原理計算では,実際に材料中で起こっている現象について原子スケールのシミュレーションやその電子状態の解析を行うことができます.このようなシミュレーションを実行するための計算機クラスタを保有しています.
研究室で何が学べるのですか??
実験を行う学生には,実験試料の作成方法や電子顕微鏡操作を習得してもらいます.シミュレーションを行う学生には,計算機の操作やシミュレーションの実行方法を習得してもらいます.これらの実践的な技術の習得だけでなく,材料科学・物理学・化学に基づいた解析を通し,深く研究テーマを理解してもらいます.
当研究室では各学生が独自の研究テーマを持っており,幅広い研究テーマを有しています.また,実験とシミュレーションの両方を行っていることも特徴です.ゼミなどを通しお互いの研究を理解することで,幅広い知識を得ることができます.
人員構成に関しては比較的小規模な研究室のため,学生に対するスタッフの割合が高いです.学生には個人のデスクとPC1台が割り当てられます.
4年生では研究に必要な技術・知識を習得し,自分が得た結果を解析する経験を積み,卒業論文としてまとめます.その過程で,講義と違い,教科書に答えが載っていない問題への取り組みを経験します.
修士課程ではさらに専門的な研究を進め,学会での発表や学術論文として発表できるクオリティの研究を行い,修士論文としてまとめます.その過程で,自らが新たな科学的知見を発見し,他の研究者に伝え議論するることを経験します.
博士課程では,これまで以上に自らの考えで主体的に研究を遂行し,独立した研究者として活躍するための力を養成します.
最近の研究テーマ
▼電子顕微鏡を用いた材料解析手法の開発
- 分析電子顕微鏡を用いた材料の光学特性測定手法の開発
- 分析電子顕微鏡を用いた材料の表面プラズモンの測定
- HAADF-STEM法を用いた単原子触媒の拡散特性の測定
- HAADF-STEM法を用いた触媒凝集過程の解明
▼機能性セラミックスの開発
- 酸素吸蔵材料の原子分解能観察と電子状態解析
- 元素置換による酸素吸蔵材料の酸素吸蔵特性の制御
- 二次元セラミックス材料を用いた新規リチウムイオン電池用電極材料の開発
- 蛍光体材料中の希土類元素の直接観察
- 貴金属中におけるアルミナ析出メカニズムの解明
- 貴金属中における酸化物半導体析出メカニズムの解明
- 異種元素ドープMAX相セラミックスの合成
- 二次元セラミックスMXeneのエッチングプロセスの最適化
▼水素エネルギー材料の開発
- 炭素系材料表面上での触媒金属原子拡散特性の解明
- 金属材料及び被覆膜中の水素原子透過特性の解明
- 水素貯蔵用有機ハイドライドの(脱)水素化反応触媒の開発
- 燃料電池用非貴金属電極触媒の作製手法の検討
- 燃料電池用非貴金属電極触媒の触媒特性の解明
▼苛酷環境用鉄鋼材料の開発
- 耐照射性材料中のNi偏析および脆化相析出挙動の解明
- 耐照射性材料中のHe偏析による粒界割れにおける粒界構造依存性の解明
当研究室での生活
4年生で配属された場合,必修講義であるプレゼンテーションに向け,卒業論文の研究テーマに関連する論文を読み,発表準備を行います
プレゼンテーションの担当終了後は,随時,教員や研究室の他のメンバーと議論しながら研究を進めます.
当研究室では週一回ずつのゼミ(進捗報告)と雑誌会を行っています.ゼミは2グループに分けて交互に行うため,2週に1度全員の前で進捗を報告することになります.
雑誌会では半期に1度自分の研究に関連する論文の内容を発表します.その他,教科書の輪講等を行いながら専門知識を深めていきます.
研究以外では,毎週ゼミ終了後の簡単な研究室清掃,月1回程度の液体窒素補充当番があります.
その他,様々なイベントを開催していますので,詳細はイベントページをご覧ください.
年間スケジュール
主な行事 | |
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1学期 | プレゼンテーション(4年生必修科目) |
6月 | 材料科学専攻フットサル大会,北工会運動会 |
7月 | 日本金属学会・日本鉄鋼協会北海道支部サマーセッション |
8月 | 大学院入学試験,材料科学専攻野球大会 |
9月 | 学会シーズン |
12月 | 日本顕微鏡学会北海道支部学術講演会,材料科学専攻ボーリング大会 |
1月 | 日本金属学会・日本鉄鋼協会北海道支部冬季講演大会 |
2月 | 卒業論文・修士論文・博士論文発表会,修士中間報告発表 |
3月 | 学会シーズン |
最近の卒業生の主な進路
博士後期課程進学
住友電気工業,JASM,安川電機,富士電機,ソニーセミコンダクタソリューションズ,古河電気工業,図研,TDK,デンソー北海道,アルプスアルパイン,大同特殊鋼,神戸製鋼所,パナソニック,新日鐵住金,北海道ガス,日野自動車,東芝ナノアナリシス,トヨタ自動車,日立製作所,スタンレー電気,三菱日立パワーシステムズ,ダイナックス,三菱重工業,日本製鋼所,住友重機械工業
NECソリューションイノベータ,野村総合研究所,キーエンス,ニトリ,札幌市役所,サッポロビール,三菱商事,丸紅,メタルワン
等…
例年よく聞かれる質問
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Q. 研究内容色々あって良くわかりません.
A. 一言で言えば,原子・nmスケールから材料特性が発現するメカニズムを解明しています.研究テーマは多岐にわたり一見共通点がないように見えますが,いずれも原子・nmスケールから解析するという点に共通点があります.これは実験もシミュレーションも同様です.最近は材料合成もやっています.
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Q. 研究テーマはどのように決まりますか??
A. もし何かやりたいテーマやトピックがあれば,可能な限り希望に沿うように考慮します.特に希望が無ければ,教員側が用意したテーマの中から選んでもらいます.
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Q. 電子顕微鏡やシミュレーションに触れてこなかったのですが問題ありませんか??
A. 研究室に入ってから勉強してもらったので問題ありません.プログラミングの知識があるとデータの取り扱いが楽になります.
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Q. 研究はどのように始まりますか??
A. 実験の場合は,まずは電子顕微鏡用の試料作製の練習からです.その後,電子顕微鏡の使い方を練習します.シミュレーションの場合は,計算機の使い方を学びつつ,インプットファイルの作り方を勉強します.
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Q. 研究室の生活はどのような感じでしょうか??
A. 全員が集まる機会としては,それぞれ週1回のゼミと雑誌会があります.ゼミでは研究の進捗状況を2週間ごとに報告します.雑誌会では自分の研究に関連する内容の論文を半年に1回紹介してもらいます.
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Q. コアタイムはありますか??
A. コアタイムはありません.各自責任をもってきちんとやるべきことができるスケジュール管理をお願いします.
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Q. 研究室の居室はどのような感じですか??
A. 各個人用の机,PC,モニターを貸与します.冷蔵庫や電気ポット,有料ですがコーヒーマシンもあります.研究用の設備についてはこちらをご覧ください.